
宮城県に住む鈴木桃子さん・静弥さん夫妻には、長女(7歳)、長男(5歳)の2人の子どもがいます。長男の心湊(みなと)くんは、生後3カ月で「胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)」と診断され、手術を受けることになりました。母親の桃子さんに、心湊くんの生後間もないころから、病気が悪化してしまった当時の様子について話を聞きました。全2回のインタビューの前編です。
エコー検査で異常を指摘されるも、無事に生まれた赤ちゃん

2020年、第2子の妊娠がわかった桃子さんは、長女のときと同じ産院で妊婦健診を受けていました。しかし、妊娠中期のエコー検査で、おなかの赤ちゃんに下大静脈欠損症(かだいじょうみゃくけっそんしょう)の可能性があると指摘されます。下大静脈欠損症とは下半身から心臓へ血液を運ぶ太い血管が生まれつき作られていない、もしくは通常とは違う血管のつながり方をしている状態です。
赤ちゃんが生まれたあと、万が一の事態に対応するため、小児専門病院の紹介を受け、桃子さんはそちらへ転院することになりました。
「転院先で、下大静脈欠損症については、血管のつながり方が通常とは異なるけれど、とくに治療は必要ないだろうということでした。また、首の後ろにむくみがありダウン症候群の疑いがあるからと羊水検査も受けましたが、結果は陰性。妊娠中にいろいろと心配なことはありましたが、前向きに考えようと思っていました。
2021年夏、妊娠38週1日の明け方ごろから前駆陣痛が始まりました。長女を実家に預け、病院へ向かい、夕方ごろに出産。コロナ禍だったため夫は立ち会いできませんでしたが、心湊は無事に生まれてきてくれて、とても安心しました。心湊は元気そうに見えたのですが、黄疸があったことや停留精巣(ていりゅうせいそう)の所見もあり、念のためGCU(新生児回復室)へ入院することになりました。
ミルクの吐き戻しが多かったことから腸回転異常症の可能性も調べることになり、生後1週間ごろに、検査手術をしました。しかし、とくに異常は見つからず、問題はないとの結論に。生後10日ほどで退院し、自宅での生活が始まりました」(桃子さん)
退院後も、心湊くんの日々の成長は順調そのものに見えました。
「泣いて、ミルクを飲んで、おむつを替えて。上の子のときと何も変わらない育児でした。うんちの色も普通だったので、まさか大きな病気が隠れているなんて考えもしませんでした。黄疸がなかなか落ち着かないようにも見えましたが、1カ月健診でもとくに異常は指摘されず、安心して過ごしていました」(桃子さん)