
生後4カ月のとき、両目とも小児がんの網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)と診断された柴田理玖(りく)くん(6歳)は、生後5カ月のときに右目の眼球を摘出する手術を受け、以来、義眼を着用しています。左目は化学療法などの治療を行い、現在は経過観察中です。
直子さんに聞いた全2回のインタビューの後編は、手術・治療中のことや、退院後の生活などについてです。
大きな不安だった病理検査。結果が出るまでの長い長い2週間が過ぎる

理玖くんに付き添う直子さんにとって、摘出した眼球の病理検査の結果を待ちながらの術後の2週間は、つらく、緊張の連続の日々でした。
「赤ちゃんって眠くなると目のあたりをごしごしこすったりしますよね。理玖にもそのしぐさがあったのですが、手術後の右目は眼帯とガーゼのせいでそれができなくて・・・。イライラするのか、ギャン泣きするんです。
しかもだんだん器用になってきて、眼帯とガーゼのすき間に指を入れて、はがそうとしちゃう。それを阻止するために24時間気が抜けない日々でした」(直子さん)
2週間がたち、綿球とガーゼをはずせることになりました。
「目の中はとてもきれいになっているから、もう保護はいらないということでしたが、眼球のない目を理玖がこすってしまうのが心配で、院内の売店で貼る眼帯を買って使ってみました。
でも、理玖がかゆそうにするのがかわいそうで3日でやめ、何もせず過ごすことに。理玖が右目をこすることはなかったし、眼球のない目に私もようやく慣れ、お互いにストレスなく過ごせるようになりました」(直子さん)
そんな日々を過ごすうちに、ようやく、心配していた病理検査の結果が出ました。
「先生は『視神経への浸潤はありませんでした』と。つまり、転移の危険性はないということ!ちょうど付き添いの交代で病室に来ていた夫も一緒に話を聞くことができ、2人で理玖を抱きしめて喜び合いました」(直子さん)
左目の全身化学療法は手術の5日後から始まっていて、病理検査の結果を聞いたのは1クール目が終わったあとのことでした。そして、一時退院の話も出ました。
「転移の危険性がなかったこと、わが家は大学病院から近くて週2回の外来通院が可能なこと、そして3歳の長男がいることを考慮してくれ、8月初めに一時退院ができることになりました。
理玖の右目にはまだ義眼が入っていなくて、まぶたは閉じたまま。長男が理玖に会う前に説明しておこうと思いました。
『理玖のおめめには悪者がいたから、お医者さんに取ってもらったんだ。だからおめめがひとつしかなくなっちゃったの。理玖に困ったことがあったら家族みんなで助けてあげよう。琉生(るい)にもお願いできる?』
3歳児がどこまで理解できたのかわかりませんが、3カ月ぶりに家に帰ってきた理玖を見て、琉生はとてもうれしそうでした。2人が一緒にいる姿を見て、私はとても幸せな気持ちになりました」(直子さん)