
内科医・和田裕紀子さん(40歳)には、6歳、3歳の男の子がいます。長男の煌太郎(こうたろう)くんは、重症心身障がい児で医療的ケアが必要です。しかしその障がいの原因は不明で、診断がついていません。
和田さんに、煌太郎くんの様子が気になり始めたときのことや症状、3歳で受けた胃ろう造設術などについて聞きました。
全2回インタビューの前編です。
妊婦健診では異常なし。2455gの髪がフサフサな男の子が誕生

和田さんが長男を授かったのは、結婚2年目、33歳のときでした。
――煌太郎くんを授かったときのことを教えてください。
和田さん(以下敬称略) 妊娠がわかったときは本当にうれしかったです。夫婦で喜び合いました。
つわりはつらかったのですが、仕事を休むほどではありませんでした。私の体質的な問題もあって、妊娠後期に妊娠糖尿病と診断されて、インスリン自己注射をしていましたが、妊娠経過は順調でした。
――出産時のことについて教えてください。
和田 息子は妊娠38週で、自然分娩で誕生しました。里帰り出産だったのですが、夜、陣痛が来て、初産なのに進むのが早くて早朝5時に元気な産声が聞こえました。予定よりも早かったので、夫は出産の立ち会いには間に合いませんでした。
出生体重は2455g、身長は47cm。生まれたときから髪がフサフサで「新生児なのに?」と驚いたことを覚えています。
生後間もなく、目が合わない、よく泣く、ミルクを飲まない…などの気になる様子が

1カ月健診では順調と言われたものの、しばらくして煌太郎くんに気になる様子が見られるようになりました。
――いつごろから、どんなことが気になりましたか?
和田 生後2~3カ月ごろからです。「目が合わない」「泣くことが多い」「ミルクをあまり飲まない」という様子があり、眼球が揺れる眼振(がんしん)も見られました。
「こうちゃん」と名前を呼んで顔を見ても、目が合いません。生後3カ月ごろからはミルクをあまり飲まなくなり、50mLを飲みきるのに1時間ぐらいかかるんです。そのため体重も増えなくて・・・。泣くことも多くて、抱っこしたり、授乳したり、おむつを替えたりしても泣きやみません。
男の子を育てた経験がある、私の母と夫の母にも「男の子育児は大変だと言われることもあるけれど、こんなに大変だったかしら・・・」と言われていました。
――乳児健診で相談したりしましたか。
和田 コロナ禍で3カ月健診が延期されていました。ほかの赤ちゃんに会う機会もほぼなく、比べることはできなかったのですが、「何かおかしい…」と思ったので、保健センターに電話をして事情を話しました。すると、「発達相談があるから来てください」と。
発達相談で小児科の医師に診てもらうと「すぐに大きな病院に行ってください」と言われたんです。大学病院の紹介状をもらいました。私も夫も「やっぱり何かある・・・」と思いました。