
人工知能(AI)が当たり前になる時代、子どもの「強み」はどう育てればいいのでしょうか。実はカギになるのは、「夢中になれるかどうか」です。1児の父でもある脳科学者・瀧靖之先生に、好奇心の引き出し方やデジタルとのつき合い方を聞きました。
AI時代に必要なのは「ナンバーワン」より「オンリーワン」

――AIがさらに普及する時代を生きていく子どもたち。そのために、「子どもに何か得意なものを見つけてあげて、AI時代に強みとなる個性、生かせるような個性を身につけさせたい」と考える親は多いようです。子どもの個性を育てるにはどうすればいいでしょうか。
瀧先生(以下敬称略) ここ十数年で、情報の質と量は大きく変わっています。さまざまな情報にだれもがアクセスできるようになりました。勉強やスポーツに取り組む中でも、ネットを通じて、自分より優れた人を簡単に見つけられてしまうと、「ナンバーワン」を目指すのはなかなか難しくなってきます。そこで重要になるのが「オンリーワン」です。
だれもがオンリーワンの存在ではあるのですが、子どもは自分ではそのことに気づきません。ですから、ぜひ親が子どものすばらしいところを見つけて伝えてあげましょう。足が速い、計算が得意、ピアノが上手、友だちがたくさんいる、思いやりがある・・・など、子どもの個性を3つくらい組み合わせると、実は周囲にその子だけの「オンリーワン」の個性が見えてきます。
――子どもの強みを伝えてあげることが大事なんですね。
瀧 言葉にして伝えると、その個性はどんどん伸びていくと思います。自分の強みを無意識のうちに考えながら行動するようになるのです。
脳には、経験によって変化していく「可塑性(かそせい)」という性質があります。また、1つの能力を身につけるとほかの力にも広がる「汎化(はんか)」という特性もあります。つまり、何かに一生懸命取り組むと、その能力が獲得できて、かつそれ以外のこともある程度できるようになるということなんです。
これらの脳の特性から見ても、自分らしい強みを伸ばしながら「オンリーワン」を意識してさまざまな能力を獲得することで、脳の活性が高まっていくのです。「オンリーワン」「自分らしさ」を見つけていくと、子ども自身の自己肯定感も高まっていきます。