たまひよ

子育てをする中で「子どもの好きなことをさせてあげたい」「夢中になれることを見つけてほしい」と考える人は多いでしょう。一方で、子どもがゲームや動画に夢中になってしまうことはちょっと心配・・・。脳科学者の瀧靖之先生は「夢中になることは、子どもの才能を開花させる秘けつ」だと言います。瀧先生に子どもの力を伸ばす「夢中」について聞きました。


「いい夢中」と「悪い夢中」とは?



――「病院の待ち時間や電車内で見せたタブレットをきっかけに、子どもがYouTubeやゲームに夢中になってしまった」という声をよく聞きます。ネットやゲーム依存が心配な場合、どのように対応すればよいでしょうか。

瀧先生(以下敬称略) 好きなことに夢中になるときは、その物事に対する強い興味関心がある状態です。自分の内側からわいてくる「おもしろい」「楽しい!」といった内発的動機づけによってものごとに興味関心を持つとき、脳では「ドーパミン」という物質が分泌され、ワクワク感や快感が生まれます。ドーパミンはやる気を引き出し、目標に向かって行動するために必要な脳内物質で、「報酬系(※1)」と呼ばれます。
ドーパミンが脳に流れると、とても気持ちがよくなり、「もっとやりたい」という気持ちが生まれると言われています。それ以外にも、集中力に関与して学習の効率を高めるなどの機能もあると考えられています。

子どもが「楽しい!」と自発的に行動して夢中になることを「いい夢中」とすると、オンラインゲームや動画アプリなどにはまりすぎて生活に支障が出るほどに夢中になってしまう状態は「悪い夢中」。ご相談のようなケースでは、「悪い夢中」になってしまうことを心配されているようです。
1つ注意したいのは、「いい夢中」でも「悪い夢中」でも、ドーパミンは同じように働くという点です。

――いい夢中にも悪い夢中にも、どちらもドーパミンが関与しているのですね。

瀧 そうです。私たちの研究チームは依存の研究もしていますが、依存的な行動も同じくドーパミンが関与していると言われています。依存とは「やめたいと思っているのにやめられない状態」です。生活や人間関係、健康、お金などに悪影響を及ぼしていても続けてしまう状態。たとえばゲームに夢中になっても、ある程度でやめられる場合は依存ではありません。おふろも入れず移動時や食事の際も手放せない、夜通しやり続けたり学校を休むほどになる、と、それは依存です。

ただ、ゲームであっても物語や構造に興味を持てば、プログラミングや創造的な活動につながる可能性もあります。したがって「ゲーム=悪」と単純に決めつけるものではありません。「いい夢中」「悪い夢中」は見極めが難しいところですが、生活や人間関係に悪影響を与えるものにはまってしまうのは悪い夢中の状態です。YouTubeを見すぎて睡眠不足になる、ゲームのことを注意すると激しく怒るなど、日常生活を送るのに支障が出てしまうようなら依存に近い状態でしょう。

※1:報酬系/「うれしい」「楽しい」と感じることで、その行動をくり返したくなる脳のしくみのこと。 報酬系にかかわる脳内物質はいくつかあり、代表的なのが「ドーパミン」 


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