たまひよ

“ママ友ドクター®ゆみ先生”こと西村佑美先生。2男1女を育てる母親であり、診察室やSNSやオンラインスクール、コミュニティで、親たちへさまざまなアドバイスをしています。先生が実践していたことをベースに教えてもらう連載「ママ小児科医がすすめる ポジティブ育児」の6回目です。インフルエンザの流行についても報道されていますが、西村先生は「今年は早めの流行に注意。家族を感染症から守るために予防対策をしっかりと」と話します。


2025年秋冬、どんな感染症に注意すべき?



2025年9月の時点で、すでにインフルエンザやRSウイルス感染症の流行が始まっています。例年より早い立ち上がりで、東京都や沖縄県などでは「流行入り」の注意報レベルの基準を超える患者が出ています。
「先生、お子さん3人もいて、風邪の予防ってどうしてるんですか?」
と、診察室でよく聞かれます。わが家でもだれかが熱を出すと、感染が広がらないよう臨戦態勢に入ります。そんな私の小児科医兼3児の母として行う風邪予防&対策術をお伝えします。


そもそも「風邪」って何?



まず、予防の話の前に、「風邪」について知っておきましょう。「風邪」って、実は正式な病名ではないんです。「風邪」とは、200種類以上のウイルスによる上気道感染症の総称で、鼻やのどにウイルスが感染して起こる症状の集まりを「風邪」と呼んでいるんです。
抗菌薬(抗生物質)は「細菌」には効くけれど、風邪の原因の「ウイルス」にはまったく効果がありません。
つまり、いわゆる「風邪」に抗菌薬を飲んでも意味がありません。「でも前に風邪で抗生物質もらったことあるよ?」と思う方もいるかもしれません。確かに、ひと昔前、つまり肺炎球菌などの細菌感染を防ぐワクチンが普及する前の時代は、抗菌薬を子どもに処方する機会は多かったのです。今でも、場合によっては細菌による二次感染の予防や治療のために処方されることもありますが、風邪のウイルス自体をやっつけるためではないんです。


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