たまひよ
妻・あゆみさん、双子の姉妹と三女とお出かけ。石田さんは優しいパパの顔に。

お笑い芸人として、また最近では舞台の演出や脚本、絵本制作なども手がける、NON STYLEの石田明さん。プライベートでは、8歳になる双子の女の子、5歳になる女の子と、3人姉妹のパパでもあります。今回は、芸人になったきっかけや、自身の子育ての経験がいかされているという舞台演出や脚本について、また、20代初めに発症したうつ病のことや父親になったことでの自身の変化について聞きました。
全2回インタビューの後編です。


絵本は余白こそおもしろい。三姉妹にはそれを見つけられる子になってほしい!


吉本興業東京本社の中庭にて。

――石田さんは、小さいころはどんなお子さんだったんですか?

石田さん(以下敬称略) 幼いころは家がとても貧しかったので、おもちゃは与えてもらえませんでした。僕の手元にあったのは、チラシの裏側と棒切れだけ。チラシの裏に絵を描いて、それをはさみで切り、棒切れに貼り付けてキャラクターをたくさん作っていました。洋服ダンスの下から2段目が僕のスペースだったので、そこに手作りのキャラクターたちをたくさん入れていたんです。引き出しを開けると、そこが僕だけの遊び場でしたね。頭の中で物語を作って、キャラクターたちを手で動かして。観客はいませんでしたけど(笑)

とにかく、考えることが好きな少年だったと思います。この経験が、漫才だったり、舞台の演出や脚本の仕事の基盤になっているのかもしれないです。

――公演中の『ノンタンのハッピーコンサート』も、演出と脚本を手がけているそうですね。どんな内容ですか?

石田 ノンタンというキャラクターって、いたずらっ子なんですよね。僕がノンタンの脚本を書くときに大切にしたいなと思っているのが、すてきな物語、感動するような物語を作るというよりは、そこらへんにあるようなささいなできごとや喜び、ちょっとした文句、みたいなものをテーマにすることです。

よくあるアニメのストーリーだと、いつもはおバカなキャラだけど、映画になるとカッコよくなったりとかあるじゃないですか。それはそれですてきだなと思うんですけど、でも、ノンタンに関していうと、そうじゃないのかなと。ノンタンって、お片づけは嫌いだし、面倒なことも嫌。とにかく楽しいことが一番が好き、みたいな。そこのベースははずしたくないなと考えているんです。

あとは、舞台をどれだけ参加型にできるかどうか、です。子どもたちは見ているだけになってしまうと、どうしても集中力が切れてきてしまうんです。お客さんは、舞台上の出演者たちとの間にうっすらとカーテンみたいな境目を感じるかもしれませんが、舞台を参加型にすることで、それを無くすことができるんです。言ってみれば、劇場自体が遊び場のような空間にできればなと思っています。

たとえば、クイズコーナーをやってみたり、夏であれば大きなちょうちょを飾ったり、冬にはでっかい雪の玉が子どもたちの頭上をゴロゴロ転がって行く演出をしたり・・・。いろいろな楽しいアイデアがあるんですよ。

こういうアイデアを出すときには、子どもたちと毎日遊んでいる経験がいかされます。『おかあさんといっしょファミリーコンサート』や『ワンワンわんだーらんど』、『しまじろうコンサート』などの親子向けのコンサートには、僕も子どもたちと一緒に行くことが多いので、それも参考にしていますね。子どもたちって、こういうタイミングですごく喜ぶんだなとか、ここは意外と飽きているなとか。

――こういった舞台ならではの魅力はどんなところにありますか?

石田 舞台って、自分でピントを合わせられるところがいいんですよ。たとえば、舞台の上で何か演目がされていて、そこをピンポイントで見てもいいんですけど、ちょっと引いて全体を見てもいいし、隣にいるお母さんを見るのでもいいんです。こうやって、自分でピントを合わせることができるのが、生の舞台のよさだと思います。テレビやYouTubeなどの映像って、もうピントが定められていたりと、意外と制限されているんですよね。

子どもたちに絵本を読んであげるときにも、物語だけを見る子になってほしくないなと思うんです。絵本は、実は余白がおもしろくて、主軸となる物語とは関係ないけど、ほかにも物語がいっぱい落ちているんですよ。わが子には、それを見つけられる子になってほしいなと思っています。


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