たまひよ

サッカー元日本代表で、ドイツでのプレー経験もある元サッカー選手の山田大記さん。山田さんは、2人の男の子のパパで、5歳になる長男はダウン症候群(以下、ダウン症)です。ダウン症は、染色体の突然変異によって起こり、通常21番目の染色体が1本多くなっていることから「21トリソミー」とも呼ばれます。この染色体の突然変異はだれにでも起こる可能性があり、ダウン症は最も頻度が高い染色体異常の1つとされ、発症頻度は、600~800人に1人とも言われています。山田さんに、長男がダウン症とわかったときのことを聞きました。全2回インタビューの前編です。


結婚4年目で待望の赤ちゃんを授かる



山田大記さんは、2016年6月に結婚。当時はドイツのチームに所属していてドイツで暮らしていましたが、日本に戻ったあと、結婚から4年目に、待望の赤ちゃんを授かりました。

――妊娠がわかったときのことを教えてください。

山田さん(以下敬称略) 結婚してずっと子どもがほしかったのですが、なかなか授からなくて・・・。そのため妊娠がわかったときは、本当にうれしかったです。
体調の変化を感じた妻が「ちょっと検査してくる」と妊娠検査薬を持ってトイレに行った後、泣きながら出てきたので、「あ、赤ちゃんできたんだ」とすぐにわかりました。妻の涙は、うれし泣きでした。

――長男のダウン症がわかったときのことを教えてください。

山田 最初に気になることを言われたのは、妊娠中期のころの妊婦健診です。私も時間があるときは、妊婦健診に立ち会っていたのですが、私が同席しているときに医師が、エコー検査をしながら「少し手足が短い」と言うんです。私が「それは何かの病気ですか?」と聞くと、医師には「手足が短いとダウン症が疑われるけれど、ほかに気になるところはないから・・・」と言われました。
なんとなく、その言葉が引っかかってはいました。

――おなかの赤ちゃんに生まれつきの病気がないか調べる、出生前検査は考えましたか。

山田 以前、妻と一緒に『チョコレートドーナツ』という映画を観たことがあるのですが、育児放棄をされたダウン症の男の子をゲイのカップルが育てるというようなストーリーでした。映画を観終わって妻と「もし、ダウン症の赤ちゃんを授かったらどうする?」という話をしていて、当時、私が「赤ちゃんは、あきらめるかも・・・」と言ったら、妻は「あきらるなんて嫌!」と言ったんです。妻にはそのころから授かった命を大切に育てていきたいという思いがあったのだと思います。
そうしたやりとりが以前からあったので、2人の間では自然と出生前検査の話は出ませんでした。


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