
梅雨に入り湿度が高くじめじめした日が続きます。そして夏がやってくるのももうすぐ。気温や湿度の上昇によって細菌が繁殖しやすくなる梅雨~夏場は、食中毒が起こりやすい季節です。食中毒の予防の原則は菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」ことですが、実は食中毒は、食材自体の毒素や誤った管理方法などでも起こることがあり、これは1年を通して注意が必要です。
子育て支援施設でスイセンをニラと間違って調理したことによる食中毒が起こった(スイセンにはヒガンバナアルカイドという毒がある)と報道されたこともあります。
離乳食や幼児食にも使用する身近な食材の危険について、子どもの食に詳しい管理栄養士の太田百合子先生に聞きました。
食中毒の危険性がある食材は?
離乳食や幼児食によく使用する食材の中にも、食中毒の可能性があるものがあります。食材についての正しい知識を持つことも予防に役立ちます。気をつけたい食材や食中毒の予防方法などについて太田先生に教えてもらいました。
【じゃがいも】芽と緑色部分にソラニンという毒素が
じゃがいもの芽に毒素があることは知られていますが、保管方法によってはさらに毒素が増えてしまうこともあるそうです。
「じゃがいもには、“グリコアルカロイド”という天然の毒素のうち、主にソラニンやチャコニンと呼ばれる物質が含まれています。これらの毒素は芽や皮の部分で増えやすく、とくに長時間にわたり太陽や蛍光灯の光が当たって表面が緑色になった皮部分はソラニンを多く含みます。毒素を多く含むじゃがいもを食べると、吐きけや嘔吐、下痢、腹痛等の消化器症状、頭痛、めまいなどの症状が出ることがあります。乳幼児では嘔吐や下痢、機嫌が悪くなるなどで現れるでしょう。
ソラニンやチャコニンは加熱しても減らないので、調理前に芽を取り除き、緑色の皮部分は厚めにむいて必ず取り除きましょう。保存の際は光が当たらないよう新聞紙などに包んで。じゃがいもは冷蔵庫で冷やしすぎるとでんぷんが低温障害を起こしていたみやすくなるので基本的には常温保存ですが、冷蔵庫の野菜室での保管もOK。離乳食や幼児食に使いやすい食材ですが、子どもに食べさせるときはできるだけ早く使うようにしましょう」(太田先生)